財務 × 運転資金

運転資金はいくら必要か──
売上が伸びるほど資金が足りなくなる理由

2026年7月17日 / 財務コンサルティング事業部

「売上は伸びているのに、なぜか資金が苦しい」。成長している会社ほど、この不思議な現象に直面します。原因の多くは運転資金にあります。仕組みを知らないと、黒字なのに資金が回らず、最悪の場合は黒字倒産につながります。

運転資金とは、事業を回し続けるために手元に必要なお金のことです。入金より先に支払いが来る——その時間差を埋めるための資金、と言い換えてもよいでしょう。まずは、いくら必要かを計算する式から見ていきます。

運転資金は、この式で計算できる

運転資金 = 売掛金 + 棚卸資産(在庫) - 買掛金

売掛金(まだ入金されていない売上)と在庫は、お金が「出ていったまま戻ってきていない」状態です。一方、買掛金(まだ払っていない仕入れ)は、支払いを待ってもらえているぶん資金を助けてくれます。差し引きで手元に必要な金額が、その会社の運転資金です。

たとえば売掛金1,500万円・在庫500万円・買掛金800万円なら、運転資金は1,200万円。常にこれだけのお金を立て替えていないと事業が回らないということです。

売上が伸びるほど資金が足りなくなる──「増加運転資金」

ここが最大の落とし穴です。売上が伸びると、売掛金も在庫も一緒に膨らみます。式のとおり、運転資金は売上に比例して増えていきます。この増えた分を「増加運転資金」と呼びます。

売上が2倍になれば、立て替える売掛金・在庫もおよそ2倍に。必要な運転資金も膨らむ
利益は出ている。でも入金が追いつく前に、次の仕入れ・人件費の支払いが来る → 現金が先に尽きる

これが「黒字なのに資金が苦しい」の正体です。決算書は黒字でも、成長のスピードに現金の回収が追いつかず、資金がショートする。急成長の会社ほど、この増加運転資金への備えが資金繰りを大きく左右します。

いくら手元に必要か、どう備えるか

目安は、先ほどの式で出した所要運転資金に、固定費の数か月分の余裕を上乗せした額です。そのうえで、増加運転資金は次の考え方で前もって備えます。

とくに、受注から入金まで半年〜1年かかる業種(製造・建設・受託開発など)は、立て替える期間が長いぶん運転資金の負担が重くなります。大きな受注が決まったときこそ、喜ぶ前に「この受注を回すのに、いくら立て替えが必要か」を先に計算しておくことが大切です。

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