財務 × 資金繰り

資金繰り表の作り方──
黒字でも倒れないための「先を見る」道具

2026年7月17日 / 財務コンサルティング事業部

「決算では黒字なのに、なぜか月末になると資金が足りない」。この不安を消してくれるのが資金繰り表です。難しい書類ではありません。これから先の入金と出金を並べて、「いつ、いくら足りなくなるか」を前もって知るための道具です。

多くの会社が見ているのは、過去の成績である損益計算書(P/L)です。しかし会社が倒れるのは、利益ではなく現金が尽きたときです。過去ではなくこれから先の現金を映すのが資金繰り表の役割です。この記事では、最低限そろえる項目と、6か月先まで見る作り方を実務目線で解説します。

損益計算書と資金繰り表は、見ている時間が違う

損益計算書(P/L)=過去の一定期間の「利益」。売上が立った時点で計上される
資金繰り表=これから先の「現金」。実際に入金・出金する時点で並べる

売上を計上しても、入金は数か月先。その間も家賃・給与・仕入れの支払いは待ってくれません。この「利益と現金のズレ」を見えるようにするのが資金繰り表です。黒字なのに資金が苦しいのは、多くの場合このズレが原因です。

資金繰り表の基本の形

形はシンプルです。毎月、次の式で残高をつないでいくだけです。

前月繰越 + 収入 - 支出 = 翌月繰越

収入と支出は、大きく2つに分けて並べると分かりやすくなります。

作り方──6か月先まで、4ステップで

① 毎月出ていく固定費を洗い出す。家賃・人件費・リース料・借入返済など、売上に関係なく出るお金を先に並べます。

② 入金予定を、回収サイトで置く。売上ではなく「実際に入金される月」に置くのがポイントです。月末締め翌月末回収なら、翌月の欄に入れます。

③ 支出予定を並べる。仕入れ、税金、賞与、設備投資など、時期の決まった大きな支出を忘れずに入れます。

④ 残高を6か月先までつなぐ。ここまでで、どの月に残高が薄くなるかが一目で分かります。

当事務所では、手元資金が固定費のおよそ6か月分を下回る月が見えてきたら、そこが動くタイミングだと考えています。資金が尽きてから借りるのは大変ですが、余裕のあるうちなら金融機関の反応もまるで違います。資金繰り表は、その「余裕のあるうち」を教えてくれます。

まずはエクセル1枚から

専用ソフトは要りません。エクセルで縦に項目、横に月を並べた1枚があれば十分です。作って終わりではなく、毎月「予定」を「実績」で埋めながら先へ伸ばしていく。これを続けるだけで、資金の不安は「なんとなく怖い」から「いつ・いくら足りるか分かる」に変わります。金融機関に融資を相談するときも、資金繰り表があれば話が早く進みます。

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