「補助金」と「助成金」は、どちらも国や自治体からもらえて返さなくてよいお金です。ただ、もらえる確実さ、お金が入る時期、申請を頼める専門家がまるで違います。ここを混同すると、資金繰りの計画が崩れます。
この記事では、中小企業がよく使う経済産業省・中小企業庁系の補助金と、厚生労働省の雇用関係の助成金を比べます。
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| 補助金(中小企業庁など) | 雇用関係の助成金(厚生労働省) | |
|---|---|---|
| 目的 | 設備投資・販路開拓・デジタル化など、国の政策目標に沿った事業 | 雇用の安定、正社員化、人材育成など |
| もらえるか | 審査があり、要件を満たしても必ず採択されるわけではない | 要件を満たして期限内に申請すれば、原則受給できるものが多い |
| 申請の時期 | 公募期間が決まっている | 取組ごとに申請期限がある(原則、支給要領で定める日の翌日から2か月以内) |
| お金が入る時期 | 事業が終わり、実績報告と検査のあと(後払い) | 取組を終えて支給申請し、審査のあと |
| 財源 | 国や自治体の予算 | 事業主だけが負担している雇用保険料(雇用保険二事業)が中心 |
現在の主な補助金には、小規模事業者持続化補助金、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金などがあります。名称や枠は毎年のように変わるので、使う前に公募要領を確かめます。
補助金:審査で選ばれ、お金はあとから入る
補助金は、公募に申請し、審査を経て採択されてから、交付申請・交付決定と進みます。締切から採択まで、通常2か月ほどかかります。
- 原則は後払い──事業の経費はいったん全額を自社で立て替え、実績報告と検査のあとに補助金が入る
- 自己負担がある──事業費の1/2〜1/3程度は自己負担
- 交付決定の前に発注した経費は対象外──採択前に先走って契約すると、補助の対象にならない
雇用関係の助成金:要件を満たせば、原則もらえる
雇用関係の助成金は、雇用保険に加入している事業所の事業主が対象です。財源は事業主が負担する雇用保険料のうち「二事業」の部分(令和8年度は賃金の3.5/1,000、建設業は4.5/1,000)で、労働者は負担していません。
会社が払ってきた保険料を、要件を満たした取組に戻す仕組みとも言えます。
- 事前の準備が要るものが多い──たとえばキャリアアップ助成金は、取組を始める前日までにキャリアアップ計画を出す必要がある
- 申請期限は取組ごと──「いつでも申請できる」わけではなく、原則2か月以内の期限を過ぎるともらえない
- 労務の土台が前提──就業規則、賃金台帳、出勤簿が整っていないと、審査で止まる
財源は一般会計で、申請期間があり、予算の範囲で途中で受付を締め切ることもあります。
交付申請と交付決定を経てから事業を始める点も、補助金に近い仕組みです(最低賃金2026年度改定への備え)。
申請書類を誰に頼めるか
ここは法律で線が引かれています。
官公署に出す書類の作成を、報酬を得て業として行えるのは行政書士です(行政書士法第1条の3・第19条)。2026年1月1日施行の改正で、「いかなる名目によるかを問わず」報酬を得て行うことはできない、と明記されました。
「コンサルタント料」の名目でも同じです。公募要領で、申請書の作成を申請者以外が行うことを認めていない補助金もあります。
労働社会保険の法令に基づく申請書の作成や提出の代行は、社会保険労務士の業務です(社会保険労務士法第2条・第27条)。
収益計画や資金計画を一緒に作り、根拠となる資料を用意することは、申請書類の作成とは別の支援です。当社が行うのはここまでで、補助金の申請書類そのものは、ご本人か行政書士が作成します。
当社では、雇用関係の助成金は関連会社の荒井人事労務事務所(社会保険労務士)が申請まで担当しています。
補助金・助成金は「もらえたらラッキー」
当社は、補助金や助成金をもらうことを目的にした設備投資・採用・節税・事業計画はお勧めしていません。
補助金が出ても、自己負担の1/2〜1/3と、入金までの立替えは確実に出ていきます。もらえるかどうかは審査次第です。本当は要らない設備なら、自己負担の分だけ現金が減ります。決算前の節税と補助金をセットにした設備投資の提案も、現金が先に出ていく点は同じです。
助成金は一度きりでも、採った人の人件費と、作った制度の運用は毎年続きます。助成金の要件に合わせて決めた採用や制度は、助成が終わったあとに会社の負担として残ります。
不採択になった瞬間に、資金計画が崩れます。銀行から見ても、補助金がなければ成り立たない計画は、返済の裏付けになりません。
まとめ:補助金は計画の中核に置かない
- 01計画は補助金がない前提で組む採択が不確実で、入金は後払い。採択されたら前倒しできる、という位置づけにする。
- 02入金までの資金を先に手当てする立替え分のつなぎ融資を、申請と同時に金融機関に相談する。
- 03雇用の取組は、始める前に助成金を確かめる補助金がなくてもやる採用・正社員化・賃上げなら、事前の計画届が要るものがあるので先に確認する。
補助金の仕組みはミラサポplus(中小企業庁)「補助金入門」、雇用関係助成金は厚生労働省「令和8年度 雇用・労働分野の助成金のご案内」、雇用保険料率は厚生労働省「令和8年度雇用保険料率のご案内」、行政書士法の改正は総務省の案内(令和7年法律第65号・令和8年1月1日施行)によります(いずれも2026年10月7日確認)。補助金の名称・補助率・公募期間は公募回ごとに変わります。
設備投資や採用の計画を、補助金・助成金がなくても回る資金計画として一緒に組み立てます。雇用関係の助成金は、関連会社の社会保険労務士が要件の確認から申請まで担当します。
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