財務 × 節税

決算賞与で節税する前に──
損金にする「3つの要件」

2026年7月17日 / 財務コンサルティング事業部

期末が近づき、思ったより利益が出ている。「このままだと税金が大きい。決算賞与で社員に還元しつつ節税できないか」。よくあるご相談です。決算賞与は有効な一手ですが、損金にするには国税庁が定める3つの要件があり、1つでも欠けると当期の節税になりません。

決算賞与とは、利益が出た事業年度に社員へ賞与を支給し、その額を当期の損金に入れて法人税を抑える方法です。社員への還元とセットでできるのが魅力ですが、要件と「計上する場所」を押さえておかないと、期待した効果が出ません。順に整理します。

未払でも当期の損金にできる──ただし3要件をすべて満たすこと

決算日までに支払いが間に合わなくても、次の3つをすべて満たせば、通知した事業年度の損金にできます(国税庁「使用人賞与の損金算入時期」)。

落とし穴は②です。「通知はしたが支払いが1か月を過ぎた」「一部の社員が退職して支払わなかった」といったケースでは、当期の損金として認められず、節税の前提が崩れます。通知は口頭ではなく、各人別の金額を書面で残すのが安全です。

計上する「場所」で、会社の見え方が変わる

もう一つ大切なのが、決算賞与を損益計算書のどこに載せるかです。当事務所では、決算賞与は毎期発生する固定的な人件費とは性質が違う——利益が出た期の一時的な還元である——という考えから、販売管理費ではなく特別損失として計上することを基本にしています。

理由は営業利益を守るためです。金融機関は本業の稼ぐ力である営業利益を最も重視します。一時的な決算賞与を販管費に入れると営業利益が凹み、本業の実力が実際より低く見えてしまいます。特別損失に置けば、税引前の利益は同じでも、営業利益は本業の姿のまま残ります。

※どの科目・区分で計上するかは、賞与の性格や過去の処理との整合もあり、最終的には顧問税理士とご相談のうえで決めてください。ここでお伝えしているのは「営業利益を守る」という財務の考え方です。

節税が目的化しないように

忘れてはいけないのは、決算賞与は社外に出ていく現金だということです。仮に100万円を賞与に回して減る税金は、実効税率がおよそ3割なら30万円ほど。差し引き70万円は手元から出ていきます。さらに賞与には会社負担の社会保険料(およそ15%)も上乗せされます。

「税金を払うのがもったいないから」だけで走ると、かえって手元資金を細らせます。社員のがんばりに報い、来期の意欲につながる——その本来の目的があってこその決算賞与です。節税は結果としてついてくるもの、という順番で考えるのが健全です。

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