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共済2制度の「貸付」を知っていますか──節税で終わらせない使い方と3つの注意点

2026年9月10日荒井 成也(財務コンサルタント)

「共済はやったほうがいいですよ。節税になりますから」。顧問税理士からこう勧められても、「毎月の積み立てに縛られる」「資金が固定されるのが怖い」と二の足を踏んでいる経営者は多いと思います。

小規模企業共済と経営セーフティ共済を「節税商品」として捉えている時点で、本来の価値の半分も使えていません。この2つの制度の実務上の価値は、積み立てた資金を、低利で、決算書の審査なしに引き出せる貸付制度を備えている点にあります。

今回は、この2制度を「貯金箱」ではなく「資金調達の手段」として使うための仕組みと、加入前に確認しておく3つの注意点を整理します。

2つの共済は別物。まず役割を分ける

小規模企業共済経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)
目的経営者個人の退職金準備取引先の倒産時のリスクヘッジ
運営中小機構中小機構
掛金上限月7万円(年84万円)月20万円(年240万円)、積立限度800万円
税務上の扱い全額が個人の所得控除全額が法人の損金(個人事業は必要経費)
対象個人事業主・小規模法人の役員1年以上事業を継続している中小企業者

ここまでは、ほとんどの経営者が顧問税理士から聞いている話です。問題はここから先です。

両制度に「契約者貸付」がある

中小機構の公表(2026年5月時点で照合)による貸付の条件です。

小規模企業共済の一般貸付

経営セーフティ共済の一時貸付金

銀行融資のような決算書審査や事業計画のヒアリングはありません。「掛金が貯まっている」というその一点が条件です。構造としては、自分が積み立てた資金から、自分に対して低利で貸し出す形になります。資産を担保に出すのではなく、資産を温存したまま流動性を確保する、という発想です。

経営セーフティ共済の一時貸付金は表面上「1年で期限一括返済」ですが、中小機構には「同額借換」の手続きがあり、償還期日に同じ金額で再度借り入れることで、元本を返済せずに資金を維持し続けることができます。
発生するのは1年分の利息(年0.9%なら760万円で約6.8万円)と印紙税程度です。
ただし、借換を続けるには毎年の利息と手続きを継続できる体制が前提で、会社の体力が落ちて借換ができなくなった瞬間に一括返済を迫られます。
借換前提の運用は、必ず「いざとなったら一括返済できる現金が別途ある」状態で組んでください。

使い方:銀行融資が間に合わない場面のクッションとして

借りた資金を法人の余資運用(有価証券など)に回す設計を勧める解説もありますが、経営セーフティ共済の使途は「事業資金」に限られており、解釈に幅があります。当社は、貸付は事業資金と資金繰りのクッションに限って使うことをおすすめしています。

加入前に確認する3つの注意点

  1. 01解約後2年間は、再加入しても掛金を損金にできない(経営セーフティ共済)2024年10月の改正で導入されました。「節税のために解約して、また加入する」というサイクルは、この改正で使えなくなっています
  2. 02途中解約は元本割れする経営セーフティ共済は加入40か月未満での解約で元本割れ。小規模企業共済は240か月(20年)未満の任意解約で元本割れ、12か月未満は掛け捨てになります。短期で出口を作ろうとすると、節税効果以上の元本損失を被ります
  3. 03貸付には使途のルールがある経営セーフティ共済は事業資金のみ。小規模企業共済は事業・事業関連・生活資金まで。「借りられるから借りる」ではなく、何に使うかを先に決めておきます

そして順番です。月7万円と月20万円、合計月27万円の積立余力が安定して確保できるか。固定費の6か月分の現預金が手元にあることが、加入の最低条件です。手元が薄い状態で共済に積むのは、順番が逆です。

掛金の税務上の扱いや解約時の課税は会社ごとに判断が変わりますので、実行前に顧問税理士にご確認ください。

出典:中小機構 共済サポートnavi「小規模企業共済 契約者貸付」「経営セーフティ共済 一時貸付金」「同額借換」(2026年5月時点で照合)。利率は金融情勢により変動する旨が中小機構サイトに明記されています。

小規模企業共済・経営セーフティ共済の加入設計、貸付制度を組み込んだ資金繰りの立て付け、銀行融資との使い分けをお手伝いします。
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