取引先の倒産は、自社の努力と関係なくある日突然襲ってきます。2026年7月には、飲食店などのカード売上金を立て替える決済代行「全東信」が破産し(負債約1,151億円)、加盟店で売上金の入金が止まる事態が全国で起きました。巻き込まれないための備えを整理します。
なぜ連鎖倒産は「他人事」ではないのか
会社は赤字で潰れるのではなく、現金が尽きたときに潰れます。黒字経営でも、売掛金や立替金が飛べば資金繰りは一気に傾きます。とくに特定の販売先・仕入先・決済先への依存が高い会社ほど、受ける打撃は大きくなります。
巻き込まれないための備え──4つの視点
取引先の倒産そのものは防げません。しかし「自社が連鎖倒産に巻き込まれるか」は、平時の備えで大きく変わります。
中小機構の公的制度です。取引先が倒産して売掛金等の回収が困難になったとき、無担保・無保証・無利子で、納付した掛金総額の10倍(最高8,000万円)まで借りられます。掛金は月5,000円〜20万円で全額損金(法人)、積立上限は800万円。連鎖倒産への備えを、節税しながら作れるのが基本の価値です。なお40ヶ月未満の解約は元本割れ、2024年10月以降は解約後2年間の掛金が損金にできない点は要注意です。
資金繰りの鉄則は「足りないから借りる」ではなく「業績が良いとき・銀行から提案が来たときに借りておく」こと。雨の日に銀行は傘を貸しません。必要のないときに借りた資金こそ、取引先が突然倒れたときの命綱になります。手元を厚くする借入は、借入金と現預金が同額増えるだけ(両建て)で、利益で返すべき債務は増えないため、決算書の体力を傷めずに守りの現金だけを積み増せます。ただし融資は、銀行が求める資料と立て付けを出せなければ、実力のある会社でも通らないことがあります。決算書の見せ方から資金使途の組み立て、交渉の立て付けまでご相談ください。
いくら持てば安心か。銀行と話すときは「手元預金を月商の1〜2ヶ月分に上げたい」という言い方が稟議に乗りやすいのですが、自社の内部基準は「固定費の6ヶ月分の現預金」で持つのがおすすめです。売上がゼロでも半年は耐えられる水準です。入金が突然止まっても、この厚みがあれば持ちこたえられます。なお「月商の何ヶ月分」は銀行員と話すための言語であって、自社の合否を判断する絶対基準にはしないでください。
備える前に、そもそも一社への依存度を下げることが最良の防御です。一つの目安として、トップ取引先は売上の10%未満に抑えたいところ。売上・仕入・決済のどれも「ここが飛んだら終わり」という相手を作らないことです。大口の取引先ほど入金サイトや信用情報を平時から確認し、条件を厳しめに置く。決済代行やファクタリングを使う場合は、「自社の資金を立て替えてくれている先」が倒れたときに何が起きるかまで想定しておきましょう。
まとめ──連鎖倒産は「起こるか」でなく「いつ起こるか」
取引先の倒産は防げませんが、自社が巻き込まれるかは備えで変わります。守りを固めた会社だけが、突然の一撃を耐えて、その後の商機をつかめます。平時のうちに手をつけるほど、備えは効きます。
取引先リスクや資金繰りの備えでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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