「月給28万円で1人採る」と決めたとき、会社の負担も月28万円だと思っていませんか。実際には、給与の上に社会保険料の会社負担が乗り、採用と教育の費用が最初の年にかかります。合計すると、年収の1.3倍前後になるのが普通です。
この記事では、東京都の会社が月給28万円・賞与2か月分で1人雇った場合を、令和8年度(2026年度)の実際の料率で積み上げます。「大体1.3倍」と覚えるだけでなく、どの費用が、なぜ乗るのかまで押さえておくと、賃上げや採用の判断が速くなります。
年収392万円の社員に、会社はいくら払うか
月給28万円、賞与が夏冬あわせて2か月分(56万円)とすると、本人の年収は392万円です。ここに会社だけが負担する費用を足していきます。
| 項目 | 計算 | 年額 |
|---|---|---|
| 給与 | 28万円×12か月 | 336万円 |
| 賞与 | 28万円×2か月 | 56万円 |
| 社会保険料(会社負担) | 392万円×約15.3% | 約60万円 |
| 採用費 | 求人媒体・紹介料など | 50万円(例) |
| 教育・引継ぎ | 先輩社員の時間・研修 | 20万円(例) |
| 初年度の合計 | 約522万円 |
本人が受け取る392万円に対して、会社の負担は約522万円。年収の約1.33倍です。2年目以降は採用費と教育費が消えますが、給与・賞与・社会保険料の約452万円(年収の約1.15倍)は毎年続きます。
社会保険料「約15.3%」の中身
社会保険料の会社負担は、給与と賞与の両方にかかります。東京都・40歳未満・事務系の業種で、令和8年度の料率を会社負担分だけ並べると次のとおりです。
| 保険 | 会社負担の料率 | 備考 |
|---|---|---|
| 健康保険(協会けんぽ・東京) | 4.925% | 全体9.85%を会社と本人で半分ずつ。都道府県で異なる |
| 厚生年金 | 9.15% | 全体18.3%の半分。全国一律 |
| 子ども・子育て支援金 | 0.115% | 全体0.23%の半分。令和8年4月分から |
| 雇用保険(一般の事業) | 0.85% | 失業等給付分0.5%+雇用保険二事業分0.35%(二事業分は会社のみ) |
| 労災保険 | 0.3% | 全額会社負担。業種で異なる(事務系の例) |
| 合計 | 約15.3% | 40〜64歳は介護保険0.81%が加わり約16.2% |
健康保険と厚生年金は「標準報酬月額」という等級表に当てはめた額に料率をかけるため、実際の額は月給と少しずれます。賞与にも同じ料率がかかります(健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1回150万円が上限)。
見落としやすい3つの費用
月給の分だけ計算して、賞与を忘れる会社が多いです。賞与56万円なら、会社負担はさらに約8.6万円。決算賞与を出すときも、支給額の15%前後が別に出ていきます。
月給を1万円上げると、会社の負担は社会保険料込みで月約1.15万円増えます。年間では約13.8万円。この計算は賃上げと社会保険料の記事で等級表の仕組みまで説明しています。
年間522万円は月に直すと約43万円。当社は手元資金の目標を「固定費の6か月分」と置いていますが、1人雇うと必要な手元資金も約260万円増える計算です。採用の前に、粗利がそれだけ増える見込みがあるかを確かめてください(1人あたり粗利で見る採用の判断)。
まとめ:求人票の月給に「1.15」をかけてから考える
- 会社の負担は、給与・賞与の約1.15倍(社会保険料の会社負担・東京・令和8年度)
- 初年度は採用費と教育費が乗り、年収の約1.3倍
- 雇った分は固定費。手元資金の目標(固定費6か月分)も一緒に増える
料率の出典:全国健康保険協会「令和8年度 都道府県単位保険料率」(東京9.85%・介護1.62%・子ども・子育て支援金0.23%)、厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率のご案内」(一般の事業 事業主負担8.5/1,000)、厚生年金保険料率18.3%、労災保険率はその他の各種事業3/1,000。健康保険料率は都道府県、労災保険率は業種で異なります。数値は2026年9月時点。
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