自社の決算月を、なぜその月にしたのか説明できますか。「区切りがいいから3月」「設立した月の前月」。設立のときにこう決めて、そのまま何年も続けている会社は多いと思います。
決算月は、決算書を締める日付にとどまりません。法人税を払う月、中間納付の月、決算対策を考える時期。これらがすべて決算月から自動的に決まります。つまり決算月は、1年間の資金繰りのリズムそのものです。
ポイント1:納税は決算の2か月後と8か月後。そこに賞与を重ねない
法人税の確定申告と納付は、原則として事業年度が終わった日の翌日から2か月以内です。消費税の確定申告も、法人は課税期間の終了から2か月以内です。
さらに、前年の法人税額が一定以上あれば中間申告があります。期首から6か月を過ぎた日から2か月以内、つまり決算の8か月後あたりに前払いの納付が来ます。消費税にも、前年の納税額に応じた中間納付があります。
10月決算の会社で考えます。確定申告の納付は12月末、中間申告の納付は翌年6月末です。12月は冬の賞与、6〜7月は夏の賞与の時期で、年に2回とも納税と賞与がぶつかります。
自社の決算月から「2か月後」と「8か月後」を数えて、賞与、大口の仕入れ、借入の返済、保険料の年払いと重なっていないか、カレンダーに並べてみてください(資金繰り表の作り方)。
ポイント2:決算月は閑散期に置く。利益の着地を見てから手が打てる
繁忙期のど真ん中で決算を締めると、最後の1〜2か月で利益が大きく動き、着地が読めません。着地が読めないと、決算賞与・設備投資・共済の掛金といった期末までの打ち手の額を決められません。
閑散期の決算は、在庫や売掛金が少ない時期に締めるので棚卸しが軽く、社内の手も空いています。繁忙期の売上が入金されたあとに納付が来るので、納税資金の面でも理にかなっています。売上の山と谷を12か月並べ、谷の入り口に決算月を置けるか確かめてください(決算賞与で節税する前に)。
ポイント3:決算月は変えられる。手続きと銀行への説明をセットで
株式会社なら、事業年度は定款に書かれているのが普通です。この場合は株主総会の特別決議で定款を変更し、税務署に異動届出書を出します(法人税法第15条。条文は「遅滞なく」、国税庁の案内は「異動等後速やかに」)。都道府県・市区町村への届出も、あわせて確認してください。
手続きより気をつけたいのは、変更した年の決算です。10月決算を3月決算に変えれば、その年は5か月だけの決算になり、売上も利益も前期と比べられません。
銀行は決算期の変更そのものを問題にはしませんが、理由の分からない変更には注意を向けます。業績の悪化を見えにくくするために決算期をずらす例があるからです。
まとめ:決算月は、資金繰りのカレンダーから逆算する
- 01決算の2か月後と8か月後に何が重なっているかを見る賞与・大口仕入・返済・年払いの保険料。
- 02売上の山と谷を12か月並べる谷の入り口が、決算月の第一候補。
- 03合っていなければ、手続きと銀行への説明をセットで準備する変更の年は12か月換算の推移表を添える。
申告・納付期限は原則で書いています(申告期限の延長特例を受けている会社は、確定申告の納付が1か月後ろにずれます)。中間申告は前年度実績による納付額が10万円以下なら不要です。根拠:国税庁「法人税のあらまし」、タックスアンサーNo.6610(消費税の確定申告期限)、異動事項に関する届出(法人税法第15条)、会社法第466条・第309条第2項(定款変更の特別決議)。賞与・納税の金額は仮設例です。
納税・賞与・返済の月を並べた資金繰りカレンダーを作り、売上の季節変動から見て今の決算月が合っているかを確かめます。決算期を変える年の銀行への説明資料づくりもお手伝いします。
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